西と東 ITとサイエンス

2015年ぐらいから、世界のIT業界のトレンドを話すのに、”融合’というキーワードをしばらく使ってきている。ちなみに2015年につくった資料のタイトルは、「シリコンバレーとアジア、そして融合した世界」。その時の資料において、シリコンバレーで起きていること、世界で起きていることとして、以下の事象をあげた。

@シリコンバレー

  • 益々加速化している変化のスピード
  • 情報の透明化・双方向性
  • 人工知能開発をめぐる攻防(アメリカ企業・中国企業)
  • 非IT企業のR&D → 全ての企業がIT化

@世界規模

  • 中国の台頭
  • デジタルエコノミーへの変化

そして4年が経過し、今のIT業界を俯瞰してみると、中国の台頭をはじめとして、上記の事象が更に進んでいることが実感できる。(ただ中国の、ITを駆使したビッグブラザー機能の強化は”つんで”そうでちょっと末恐ろしいものが)

一方、最後のデジタルエコノミーへの変化という項目で、様々な境界線が崩れていることに触れた(タイトルに”融合’というキーワードをいれたのはこの事象の重要性を強調したかったから)。B2B – B2C (エンタープライズ事業のコンシューマライゼーション)、越境ビジネス(越境EC、会社組織を戦略的に世界に配置する)、正社員ーフリーランス(働き方の多様化)。つまり、その年あたりから、社会の様々な仕組みがITによって流動化・再構築される動きが加速化しているのだけれど、一昨年ぐらいからIT業界の大きな地殻変動を感じている。新しい2つの融合だ。

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西から東へ

世界経済の中心は アメリカ一国集中 → 米中の二巨頭体制+伸び代の高い東南アジアへとシフトした。今シリコンバレーを始め欧米社会で感じるのは、効率主義・資本主義中心の西洋文化に、マインドフルネスや仏教の教えなど、アジアの思想・文化が相当ビジネスのメインストリームにも入り込んできている点。注)

(ちなみに近藤麻理恵さんが今アメリカで大ブームになっているが、彼女が提唱する、モノに魂がある風に扱うところ〈ありがとうといってから捨てるとか〉は、欧米社会にはなかなかない発想だし、片付けにドラマや哲学を感じるのはとても新鮮に映る。)

もっとこなれたAIが社会に行き渡った後、新しい社会のNorm(基準)が生まれると予測されるけれど、その時に、この東洋的思想・哲学がベースラインになる気がする。

注)カウンターカルチャーがベースにあるカルフォルニアでは、昔から禅などの思想やヨガ・メディテーションのプラクティスが身近なものだったのは確か(スティーブ・ジョブズをはじめ、シリコンバレーのIT企業経営者の中には東洋思想に造詣の深い人物も多い)。

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ITとサイエンス

ここ3年ほどで、長生き(アンチエージング、不老不死)の研究が急速に進んでいる。AIなど先端技術を取り込むことで、研究の精度があがってきていることが理由の一つだが、IT業界の多くのキーパーソンもこの分野に注目して多額の出資をしている状況(ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ、セルゲイ・ブリン、マーク・ベニオフなど)。 また、睡眠の質を上げるデバイスや、精神状態をよいステータスに保つアプリなど、より”身体”に結びついたソリューションが次々に生まれてきている。

一方で、スマホの時代の終焉が言われている昨今だけれど、次世代の5Gベースのソリューションはどこがどういう形で具現化していくのか、今のところみえていない状況。 ただこれからは、より人間の感情・身体・知覚などに直結したものが台頭する気がする。

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東洋思想、ITとサイエンスの結びつきは今後益々強まっていくに違いないと思うと同時に、これからどんな世界が待っているのか楽しみでならない2019年の年初であります。

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