コロナが広がって一年が過ぎ、アメリカ国民の生活スタイルがどう変わってきたかについてのレポートをみつけたので、その中から興味深い項目についてご紹介したい。
サーベイ手法
実施期間:3/15/2020 ~ 3/15/2021
対象者:114,435名
サーベイレポート https://theharrispoll.com/wp-content/uploads/2021/03/Harris-Poll-COVID-1-year-FINAL1.pdf
生活改善・自己投資
パンデミックにより、人生あるいはそのプライオリティを再考する人が増えた。この結果、アンケート回答者の3分の2以上が、家族や近しい人々とのつながりが当たり前ではないことを実感・その関係が更に強固になったと答える一方で、既存の人間関係で必要とは思えない人とは関係を清算する、という動きもみられた。
自己研鑽への投資も増えた。2020年3月から9月の7ヶ月で、オンライン研修大手コーセラ(Coursera)は、5千万人以上のクラス新規登録があったという。これは対前年度比で実に444%の伸び。
自身や社会のウェルネスへの投資も同様で、様々な寄付を継続すると答えた人が76%、42%の人が健康維持のためのワークアウトを今後も続けると回答。
【Serendコメント】米国社会ではもともとチャリティやボランティアなどの草の根活動が浸透していて、時々大手IT企業の経営者や著名人なども巨額の寄付をおこなったりする。
人口移動
パンデミックが広がった2020年春、都市在住者の39%が郊外への引っ越しを検討していると回答。自宅から勤務しているナレッジワーカーが、より居心地のいい住居を求めて郊外に移り住むという一つの流れを反映したもの。ただ、一概に都市から郊外へ人口流入が進んだわけではないのが現実で、それから7ヶ月後のフォローアップ・アンケートでは、そのうち25%の都市在住者が別の都市に移り住むことを検討しており、Gen Z (18-24歳)の39%が大都市に住み続けたいと回答。
今春の消費動向
ワクチン摂取によるコロナ感染沈静化をうけて、この春以降消費活動が活発化されることが予想されている。この冬までの消費動向との違いは、店舗での買い物を増やしたいとの回答が多く、また、73%の回答者は社会がよりノーマルに戻ってからこれまで控えていた消費活動(旅行、コンサートやスポーツ観戦など)を復活させたいと思っている。特に旅行に対する願望はとりわけ強い。
そういった消費者のセンチメントの変化に対し、ブランド側は広告費用を上乗せして2020年の売上損失を補うべく備える企業が増えている。とはいうものの消費者のブランドイメージや消費動向はコロナ以前とは同じではないことに注意しなければならない。
セルフチェックアウトやアプリを使った無接触購買プロセスなどがその筆頭にあげられる。また、より多くの消費者がオンラインでの購買活動に馴染んできており、52%の回答者は実店舗でのショッピングを渇望しているのと同時に、チャットボットやビデオレビューなどを駆使してオンラインでの購買を済ませており、77%の回答者はオンライン購買に満足していると答えた。また、オンラインとオフラインのコンビネーションであるオムニチャネルがポストコロナに望ましいと感じている消費者が増えている(より高価なものはオフライン、日用品はオンラインで、といった使い分けや、のオンライン・オフラインの購買プロセスの組み合わせ)。
【Serendコメント】もともとアメリカ人はお買い物大好きな国民性。 パンデミックの間、コト消費ができないうっぷんから、という側面もありオンラインショッピングに勤しむ人々が多かったが、コロナが収束した際にコト消費がどれだけ伸びるのかに注目(特に旅行関連)。