コロナ・パンデミック前、Limeなどの電気スクーターのビジネスが盛り上がりましたが、それらがいっきに下火になった2018年12月、全く違ったアプローチで電気スクーターのスタートアップが立ち上がりました。その名もUnagi。そう、蒲焼きが最高なあの鰻です。2018年11月にキックスターターに登場し2千4百万円相当の売り上げを記録、一部メディアでも話題になりました。開拓し尽くされたと思われた市場に敢えて参入した背景には、サブスクビジネスを長年手掛けてきた創業者の経験と、それに囚われない冷静な市場分析が大いにあると思われます。
製品の特長
これまでの電気スクーターとの違いは、以下の通り。
- 素材に相当こだわっていること(ちなみにボディは東レのカーボンファイバー使用)
- 大人がもっていてもさまになるデザイン (メカオタクにも刺さる仕様)
- 二つ折りで簡単に持ち運びできるユーザビリティ
- DtoC(直接販売)モデル:月々$49 (または$39)支払うサブスクモデルか、$990で一括購入の2つのプラン (ちなみにそれぞれ明確なターゲット層が設定されている:前者はよいものを試したいけれどコミットメントしたくないミレニアル世代、後者は35歳以上の男性)
ファウンダー
創業者のハイマン氏(David Hyman)はBeats Music (Appleに$3Bで売却)、MOG(音楽のサブスクサービス)、Gracenote(MP3ベースの音楽配信コアテクノロジーを開発)なども過去立ち上げたシリアルアントレプレナー。それ以前は、ワイアード(Wired)誌でオンライン広告の営業も経験。素早いチーム組成からの$13.7M 調達、からのあっという間の販売拡大=グロースステージ突入。スピードがものをいうコンシューマービジネス、創業者のトラックレコードが大きく影響します。
タイミング
スタートアップはタイミングがとても重要ですが、このUnagiに関しても、立ち上げ後誰も予想だにしていなかったコロナのパンデミックが拡大したわけで、今でこそ米国も徐々に公共交通機関やUberなどの需要が戻ってきたけれど、移動手段に慎重な人たちはコロナ前より明らかに増えたはず。月~金オフィス勤務からフレキシブルなワークスタイル(カフェでの仕事、オフィスと自宅勤務のハイブリッド)へのシフトが一気に進んだので、そういった街中のちょっとした移動のニーズにもこのスクーターはうってつけかもしれません。なんという見計ったようなタイミングの良さよ。。
余談
ネーミング(Unagi)ですが、ファウンダーがうなぎ大好きだから名付けたとのこと。まあ米国でUnagiって聞いたら、日本食好きだったら食材のあれとすぐわかるし、そうじゃなかったらよくわからんけどエキゾチック、ということでどちらにしても記憶に残るネーミングかと!