グローバリゼーション再定義の必要性を唱える論説が増えてきた。シリコンバレーでグローバル事業開発を事業のコアに据えて10年間やってきて、今まさにその仕組みががらりと変わる時であることを実感している。頭の整理のためにも、これまでのグローバリゼーションに関わる実体験、そして現時点で自分が感じているこれからのグローバリゼーションのあり方の可能性などをこのブログに書き記したい。
初回は、ここ10年来のシリコンバレーでのグローバリゼーションの動きと、私自身の実体験についての振り返り。
グローバリゼーションが突っ走っていた時代
2010年ぐらいからシリコンバレーでは、中国本土から来た若くて野心のあるアントレプレナーや、潤沢なチャイナマネーを持つVCの存在が目立つようになってきていた。中国でのテクノロジー動向をさぐるセミナーや、ネットワークイベントが盛んに開催されるようになったのもこの頃だ。深センがハードウェアの聖地として注目を浴び、コンシューマー系ネットの中国発スタートアップがどんどん出てきたりもしていた。
ちなみにそれ以前のシリコンバレーIT業界での中国人といえば、エンタープライズ系IT企業のシステムエンジニアなど、バックエンドを支える重要だけれども地味(いわゆるアンセクシー)な役どころが多かったのだが、この頃を境に俄然中国テックに旬の勢いが加わっていった。
それまでITはシリコンバレーの独走状態だったのが、よもやすると中国との2巨頭体制になりそう・アジアが市場としてかなり伸びるとの予感から、私は2015年、その変化を生でみようと、上海・深セン・シンガポールを視察を決行した。実際に目にした光景は、噂に違わず上り調子にある現場特有の活気に満ち溢れていて、IT業界の新しい時代の到来を体感したものだった。






興奮冷めやらぬままアメリカに戻ったあと、アメリカでは2016年に大統領選があり、このあたりから米中の貿易戦争がちらちら始まったと思うまもなく米中関係が急速に悪化していく。前述した、アメリカと中国のハネムーンフェーズはあっという間に終息し、シリコンバレーでも一転して中国企業に対し警戒感が高まり、学生・プロフェッショナルを問わずこの地での中国人のプレゼンスは一気に減っていったのだった。
もちろんシリコンバレーではあらゆる国からやってきた人々・組織が混じり合ってひとつのエコシステムを形成している。そのエコシステムを形成しているデモグラフィックの中で、この5〜6年で特に変化の大きかったのが中国勢であったと言える。
次回に続く