グローバリゼーションのゆくえ ②

前回は中国勢のシリコンバレーでのプレゼンスやIT業界におけるアジアの台頭・失速などについて書いてみた。今回はタンジブル(=モノの動きが伴う)なグローバル経済の今とこれからについて。

米中関係が悪化する中、コロナ発生。各国でナショナリズムが復活し、今回のウクライナ侵略でグローバリゼーションの仕切り直しが決定的となった。その流れを、グローバル経済のフレームに的確に反映して言語化しているのが、世界最大の資産運用会社BlackRockのCEO Larry Fink氏。ちょうど4月13日付の日経に「〈ウクライナ危機を聞く〉グローバル化、再定義の時」と題した同氏のインタビュー記事が掲載されたので、以下、記事の要点を列記したい。

* この記事は我々を取り巻く今そして近未来の世界情勢を的確に言い得ていると思うので、全文を読まれることをお勧めします。 
** 余力があればBlackRockの同氏の年次レターもぜひ。

  • ロシアのウクライナ侵攻が世界秩序変更の決定的な分岐点
  • 政治リスクがない時代にはグローバリゼーションは機能する
  • これからしばらくは国家による安全保障が最優先
  • これまでのグローバリゼーションは、市場優先・最適化が進んだ効率第一なもの
  • これからのグローバリゼーションは、効率性よりリスク回避が重視されるコスト高なものへ

ずっとこの政経一致のあり方が続くとは思わないが、やはり少なくともこれから数年は、これまでの市場優先から国家レベルでのルールを重視したビジネス展開が必要とされるのだろう。そういったなか、世界中の企業がサプライチェーンの再構築を検討、インプリしていく。そうすると、人・経済の流れも変わってきて、そこから新しいビジネスオポチュニティが生まれてくるはずだ。

全く以前と同じグローバル経済のあり方に戻ることはない。けれど、政経一致のしばりも徐々に緩んでくるだろうし、試行錯誤を経て、新しいグローバル経済の形が少しずつ立ち上がってくるだろう。立地的に考えて、日本はよいポジションにあると思うので、新グローバル経済のフレームをリアルに想像しながら機敏に動いて、好機をうまくとらえられるようになっていけたらよいと思う。

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