ベイエリアおよび米国全体の市況と働き方最前線 (1/2)

11月14日、フリーモント市の主催で開催された「Silicon Valley Industry Outlook」なるコンファレンスに出席。製造業が集積しているフリーモントのローカル企業とのネットワーキングが主な目的だったのだが、トークセッションが思いのほか示唆に富んだ内容だったので数回に分けてキーポイントを紹介したいと思います。

第一回目は、ベイエリアおよび米国全体の最新状況について。

アメリカ経済のシンクタンク Bay Area Council Economic Institute の担当者による、コロナ後のベイエリア及び米国全体の市況についてのプレゼンから、ファクトを順にみていきましょう。

目次

エリア別コロナ発生後の知的労働雇用数の推移 (2/2020 ~ 9/2023)

コロナ発生(2020年2月)から2023年9月までの間で、サンフランシスコでは17,500件の知的労働職(テック、ファイナンス、R&Dなど)が新たに加えられたが、他の地域がその数をはるかに上回っている。

この期間中驚異的な伸びを示したのがダラスで、実に229,600件の新規雇用を産んでいる。次点が同じくテキサスのオースチンで101,800件、3位がマイアミに100,900件。これにニューヨーク、アトランタ、ヒューストンが続く。上位にテキサス州の3都市がランクインしているのが興味深い。一方ロスアンジェルスは8,000件の雇用減を示しており、サンフランシスコ・サンノゼと合わせてカリフォルニアが低調なのがみてとれる。

→ カリフォルニアからまとまった数のホワイトカラーがフロリダ州やテキサス州に移動。

雇用全体の推移 (9/2022 – 9/2023)

こちらもベイエリアの都市(オークランド、サンフランシスコ、サンノゼ)は他の都市と比べて低調な伸び。

ベイエリアにおけるリモートワークの割合

2022年時点でのリモートワーカーの割合は、ベイエリア全体では25%。サンフランシスコは32.5%、より郊外の街では35%を超えている。

ベイエリアにおけるコロナ前と現在でのオフィス稼働率の変化 (2019 Q4 ー 2023 Q3)

特にテック企業が集積しているマウンテンビュー、パロアルト, SF SoMa1(+ SF金融街)のコロナ前の空席率は非常に低いのがわかる。そして特筆すべきは、現在のSoMaエリアのオフィス稼働率の低さ。実に空室率が43%という驚愕の数字。

全米主要都市で比較したVC投資額(Q3 2023時点

こちらは打って変わってベイエリアの独壇場で、サンノゼ、サンフランシスコのツートップという状況。次にバイオが強いボストンが3位。

2022年度で、特許出願の多かったカリフォルニア州のトップ10の市

カリフォルニア州に限定すると上位10の中にベイエリアが7つランクイン、全米でみてもベイエリアの強さが右のコラムでわかる。ちなみにChatGPTからかえってきた全米トップ10は以下のような結果、サンノゼ、サンフランシスコが2トップとなっている。

  1. San Jose, California
  2. San Francisco, California
  3. New York City, New York
  4. Boston, Massachusetts
  5. Los Angeles, California
  6. Seattle, Washington
  7. San Diego, California
  8. Chicago, Illinois
  9. Minneapolis, Minnesota
  10. Austin, Texas

全米時価総額トップ50の企業ランキング

17社がベイエリアの企業で、そのうち6社がトップ10入り。生成AI関連で急激に伸びているNVIDIAも上位に加わるので、更にベイエリア企業群の存在感は増すことになる。Teslaは一時テキサス移転が騒がれたものの、のちに新しい本社をPalo Altoに開設している。

グローバルでみた生成AI企業トップ50社の半分はベイエリアの企業

こういったランキングは集計の仕方によって結果が大きく変わりがちだが、確かに今現在この分野で先頭を走っている企業はOpenAIをはじめサンフランシスコに多く存在しており、また、ベイエリアのそこかしこで生成AIのコミュニティ/クラスターが続々生まれ、大きな勢力になってきている。

サンフランシスコのヘイズバレーという地区には現在Ai関連のスタートアップが集積、セレブラル・バレー(Cerebralは脳を意味し、AIとかけている)という呼び名で表されるようになった。AIに関するイベントがサンフランシスコを中心として今や毎月100近くも開催されている2

こういった状況からも、事実上ベイエリアがAIのメッカとなっていることは間違いない。

都市別にみた民間企業の従業員1人当たりの事業税

これはサンフランシスコがトップになっており、企業・従業員が他州へ逃げ出す一因となっている。


サンフランシスコ、および全米にわたるビジネス市況をご覧いただいたが、どう感じられただろうか?

次回は、働き方に関するパネルセッションの概要と、セッション全体+その他の見聞から導き出された筆者なりの洞察・インプリケーションをお伝えしたいと思います。



  1. SoMaとはSouth of Marketの略で、サンフランシスコのダウンタウンの動脈と言えるMarket Streetから南に伸びた一角を指す。15年ほど前からテック系のスタートアップがここを拠点にし始め、それをサポートするインキュベーターやコワーキングスペースも一気に増えた。 ↩︎

  2. イベントの詳細を列記したウェブサイトもできている https://events.cerebralvalley.ai/ ↩︎

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